ゆりの日常 買い物事情
ゆりが職場復帰を果たしてからというもの、買い物事情がガラッと変わった。
大きい買い物は週末に、足りなくなったり急に必要になったものは、
ゆりかハズバンドが仕事の帰りに買い足す、
という、共働き夫婦ならいたって普通のサイクルが出来上がった。
だが、普通とはいいがたいことが一つだけあった。
もともとゆりは、必要なもの以外買わない性分で、
ハズバンドは、目新しいものは試してみたい、もしくはいつかは消費するんだから見つけた時にいろいろ買いだめしたい性分。
一緒に買い物すると、ゆりにとってはいらないもののオンパレードで、
いちいちハズバンドが手に取るものに、
なぜ今買う必要がないか説明しないと買うのを諦めてくれないのがストレスで、
ハズバンドにとっては、手に取るすべてにあーでもないこーでもない言われるのがストレスで、
始めの頃は買い物中によくもめた。
今はお互いに少しだけ歩み寄り、
ゆりは、高いものでもないし度を越えなければいいかと思えるようになり、
ハズバンドは、少し衝動買いを思いとどまることが出来るようになった。
だが、ゆりが働きだしてから、ハズバンドが一人で買い物に行く機会が増え、
たまにたがが外れたように衝動買いをしてくることがある。
そんな時、ハズバンドは決まってこう言うのだ。
「これはゆりに買ってきたよ。」
「これはLeeちゃん(娘)にだよ。」
いかにも自分のための買い物ではないことをアピールするのだ。
先日ハズバンドが両腕に段ボール箱を抱えて帰宅してきた。
さらに両手にはパンパンの買い物袋をぶら下げている。(こちらはいつもの光景。)
いつも帰宅する時間を超えていたので、買い物でもしてるのかと予想はしていたが、
段ボール二箱はさすがに予想できなかった。
頼んでいた牛乳、野菜、フルーツなどは買い物袋におさまっていたため、
果たして段ボール二箱の中身は何なのか。
パンだった。
二箱とも、パン屋さんで買ったパンでいっぱいだった。
見ろ見ろと夕方の忙しい時間にパンの紹介が始まる。
ゆりにはこれ、これ、これは自分が食べたいやつ。
案の定、紹介されたパンのほとんどがゆりのパンで、
ハズバンドが食べるやつは一握りだった。
ハズバンドは自分が食べたかったパンを、
一通りの紹介を終えた後、すべて食べた。
残っているパンはすべてゆりのパンのはずだ。
ゆりが、こんなにパンばっかりたくさん食べないよというと、
仕分けをはじめ、ゆりの実家へ差し入れをすることになった。
それでもまだ一箱分のパンの山が残った。
次の日、朝ご飯にそのパンを食べようと箱の中を見ると、
あきらかにパンの量が減っている。
いつものことなので、聞く必要もない、ハズバンドが食べたのだ。
ゆりのために買ったはずのパンを、夜食、朝ご飯にハズバンドが食べていたのだ。
結局ゆりは二日かけてパン3つほど食べただろうか。
その間に山のようにあったパンはもうなくなっていた。
Leeちゃんにもよく、フルーツジュースを買ってきたと言うが、
Leeちゃんだけのジュースなら小さいパックで十分なのに、
必ず大きいボトルを選んでくる。
そして半分以上飲むのはやはりハズバンドなのだ。
ゆりに、Leeちゃんに、というのは嘘ではなく本音で、
喜んでもらえると信じてしている行為だと思うので、
最近は文句を言わず、ありがとう(苦笑)と言うようにしている。
頼んだものを必要最低限の量だけ買ってきてもらうことは、
たぶん一生ない。
文章 ゆり
編集 あり ゆり
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