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ゆりの日常 名を名乗れば

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日本人が海外へ行き、自分の名を名乗ったとき、

馴染みのない名前に加えて発音の違いで、正確に聞き取ってもらえないことがある。

面倒くさいが、ローマ字で一文字ずつ伝える必要がある

 

そしてはるばる日本にやって来たゆりのハズバンドも、名を名乗る時に毎回手こずる。

彼は、とにかく複雑な名字をしていた。

いったいどれだけの人が正確に彼の名字を言えただろう。

 

聞いてダメなら見てみよう。

ローマ字表記を見てみる。

読めない。

カタカナで書かれたものを見てみる。

読め…た。

が、噛む。

そして忘れる。

ありとちよは未だにスラスラ読めない。

 

ハズバンドは必要な時以外は、名前しか名乗らない。

彼は名字を名乗った時のロスタイムをなくしている。

 

だが、やはり名字が必要なときもある。

 

日本の文化、安産祈願。

ゆりは、電話で事前に予約をし、ご祈祷に必要な詳細を伝える。

ハズバンドの名前を聞かれたので、外国人です、と前置きした後、

ゆっくりした速度で答える。

無言電話になる。

想定内!

もう一度、もっとゆっくり伝える。

……もう一度お願いされたので、

もう一度、ゆーっくりと、

結局来た時に紙に書いて欲しいとのことで、電話を終える。

 

当日。

ハズバンドの名前を紙にカタカナで書き、

それを指でなぞりながら再度伝えた。

 

儀式が行われる空間に通され、座ってしばらくが経ち、神主さんが現れた。

 

神主さんがご祈祷し始める。

そしていよいよハズバンドの名前が読み上げられるとき

何度も確認し練習してくださったのであろう。

 

だが、一文字目でつまづいてしまった!

そこからもうちっとも進まなくなってしまった。

何度か仕切り直してくれたものの、一文字目から一切進まない。

最終的にはゴニョゴニョふふふん

それっぽく読み上げ、

流れをそれ以上止めないように配慮してくださった。

 

 

安産祈願の御利益もあり、無事元気すぎる娘誕生。

同じ神社でお宮参りの電話予約をした際、

「あーあの時の。」と、私達の事を覚えていた。

複雑な名字が心に残ったのか、外国人だったからかは定かではないが、

歓迎してくださり、お宮参りも無事終えた。

 

 

 

そう、 私達は夫婦別姓です。

 

 

文章 ゆり

編集 あり ゆり

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