BEST FRIENDS

30代 3人組 stillキラキラLIFE

誰も興味ない ⑧某食品メーカーでのバイト編

人生の "半分、親友"

な私達が経験した初めてのお仕事のお話。

 

ちよの紹介で冬休みの3日間、

小遣い稼ぎに出る決意をした私達。

 

それは某食品メーカーのお節詰め。

 

1日工場に缶詰め、立ちっぱなし、

ひたすらお節の品をコンベアーに乗って流れてくるお重に詰め続ける。

単純そうでとても過酷な作業だ。

 

まず見た目がとにかくイケてない。

衛生面が一番に考えられているためイケている必要などないと言わんばかりに、

給食係りの白いエプロンに白い丸い紙でできた帽子、もちろん髪の毛一本外に出してはいけない、

極めつけで大きな白いマスク。

 

そして工場内は加工食品独特のにおいが漂い、とにかく寒い。

冬の食品メーカーの工場はまるで科学館の南極体験室のように底冷えする。

冷え性のありのくちびるは常に真っ青だった。

 

最後に、作業中は私語厳禁。

これが仲良しな私達にとっては一番つらかった。

 

 

初日、まだ場に慣れず少し緊張していた私達は、淡々と作業を進める。

担当した食品は、ゴボウさん。

ゴボウを4本並べて差し込む。

4人隣同士で、流れるラジオに合わせて、遠慮がちに口ずさみ、時にはしりとりを楽しんだ。

 

2日目、私達は場慣れし全開。

早朝のチャリでの出勤中からおしゃべりはとまらず、そのまま工場内へ。

ありはる タコ8個

ゆり 小魚佃煮

ちよ (わからん)

この日も全員ひとかたまりで作業、

ラジオから知ってる曲が流れたらもう最後、全員で大合唱

マスクの中から、声がもれる。

えーえいーあー きみからもらいなき♪♬

 

それが現場監督の目に留まり、皆の前で怒られる。

そしてゆりだけが部署移動を命じられる。

 

ぶりの煮物

 

崩れやすい品のため細心の注意が必要な上、

二重にした手袋がまるで意味をなさないくらい冷たくて魚臭い。

 

ゆりは昼休憩にありちよはるに手のにおいを確認してもらい、

どれだけ3人の部署が好条件であるかを熱弁。

 

午後からもゆりはもちろんぶり

何より悲しかったのは、ぶりを担当する他女子2名も同世代で友人同士で来ており、

小声でつらいつらいといいながらも楽しそうに作業している。

 

例え過酷な状況でも4人だったら、

と何度も何度も思った。

 

家に帰り風呂に入っても消えることのない魚臭さ、女子高生のゆりには耐えがたかった。

明日はどうか違う部署に…と祈りながら布団に入ったが、

次の日もゆりはぶりだった。同世代の女子2人組と一緒に。

 

 

超過酷な3日間を終えた私達は、これが最初で最後だろうと工場をあとにした。

が、お金に目がくらみ、まさか来年もその工場に立っているとは、

この時夢にも思っていなかった。

 

 

文章 あり

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