BEST FRIENDS

30代 3人組 stillキラキラLIFE

誰も興味ない ⑨幻の映画編

人生の "半分、親友"

な私達が出演した映画のお話。

 

ちよは中学時代演劇部に所属していた。

演劇部に。

エンターテイメントに1番疎いちよが。

 

私達は事あるごとにそれをもとにちよをからかった。

だが、ゆりは密かにかっこいいと思っていた。

ムービースターになりたかったのだ。

 

ある日、部活を終えた私達は、

明日も学校で会えるにも関わらず、別れを惜しみ、

日が暮れた川の堤防でおしゃべり。

 

話題はひょんなことからちよ元演劇部の話になり、

強い憧れを抱いていたゆりは思いきってショートフィルムを作ろうと提案した。

 

暗闇での撮影であったため、映像がはっきりしていないことに後日気付く。

そしてその映画は幻となったのだ。

 

ドキュメンタリーなタッチでシリアスな青春を描く。

演じるのは自分達。限界に挑む。

 

監督・撮影  はる

原作・脚本  あり ゆり

主演  ちよ

出演  あり ゆり

 

重い荷物を抱える3人の少女たち。

ちよ、そしてありゆりは世知辛い社会を嘆き家出を決意する。

川のほとり、体育座りで泣きながらキズを分かち合う。

 

暗く人気のない堤防、

誰からともなく帰ろうと言い出し、

まずゆりが立ち上がり重い荷物(持っているものは通学カバン)を引きずりながら川辺を去る。

ありもそっとちよに声をかけ動き出す。だんだん姿が見えなくなる。

 

ちよは帰宅を渋っていた。

深くため息をつき、体育座りの膝っ小僧に目を落とす。

毛を抜き始めたそのとき、両側にフッと気配を感じた。

ありゆりが優しい笑みを浮かべて立っていた。

「みんなで帰ろう。」

「うん。」

 

エンディングの音楽と共に、私たちはカメラに向かってポーズを決める。

 

さっさと家に帰れ。

 

 

 

文章 あり

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