ゆりの日常 おばあちゃん
ゆりは知らないおばあちゃんに突然話しかけられることが昔から多々あった。
例えば、バス停でバスを待っていると、
すぐ前に並んでいたおばあちゃんが突然バッと振り返り、
「あんたぁ背がデカいねぇ。」
と何メートルも先まで轟くような声で言われた。
学生の頃は背が高いことが一番のコンプレックスだった。
それを、はじめましてのおばあちゃんが、
わざわざ声に出さなくても、心の中にとどめておいてくれればいいのに、
目が合うよりも先に、言われたことがあった。
こんなシチュエーションは数えきれない。
そして娘ができてから、おばあちゃんからのビックボイスつぶやきはさらに増した。
おばあちゃんは赤ちゃんが大好きだ。
赤ちゃんを見ると、誰の子だろうが近寄り、声をかける。
ゆりのハズバンドは外国人なので、娘はハーフだ。
ゆりは、娘(そんなにハーフ顔ではないと思っている)を、ハズバンドではなく、どちらかというとゆりに似ていると心から思っている。
ところが、世間のおばあちゃん達はそうは思っていないようだ。
ゆりが娘を抱っこしていると決まって、
「あらぁ ハーフみたいなお顔ねぇ。(ゆりを一瞥)お父さんに似ているのねぇ。」
「あらぁ 外国人さんみたいなお顔ねぇ。(ゆりを一瞥)お父さんがイケメンなのねぇ。」
「あらぁ お人形さんみたいねぇ。(ゆりを一瞥)・・・」
と、かたくなにゆりに似ている説を否定する。
確かにゆりの顔は平たいし、
パッとみるとのっぺらぼうに見えるくらい、
目と鼻と口の顔の面積に占める割合がとても少ない。
生まれてくる前はそんなゆりの顔に似ないといいなと思っていたが、
いざ面と向かってはっきりと全く似ていないと否定されるとやはり心は複雑。
ゆりはどちらかと言えば自分に似ていると信じているためよりつらい。
おばあちゃんとのほっこりするはずのコミュニケーションに、ゆりフラストレーション。
そして、ゆりは強くなり、ワンアップした。
文章 ゆり
編集 あり ゆり
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