誰も興味ない ⑯某アイドル事務所所属グループのオタク時代
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人生の "半分、親友"
な私達が熱心なアイドルオタクだったお話。
私達と言ってもありゆりの二人だけだが、
数年間、某アイドル事務所所属のグループの追っかけをしていたことがある。
私達がまだ高校二年生だったころ。
ありが毎日欠かさず見ていた朝ドラに、ヒロインの相手役で出ていた彼。
かっこいい。
ありはすぐにゆりに見るように薦めた。
話が面白いし何よりかっこいい人が出てる、と。
朝ドラ=ちゅ〇さんレベルの知識しかなかったゆりは、
薦められるがまま鑑賞。
15分後にはオタクが出来上がっていた。
その日を境にありゆりの話題はそのアイドルのことばかり。
それをすぐ横で聞いていたはずのちよ。
ちよだけはちっともなびく事なく、こっちの世界に入ってこなかったし、冷たい眼差しで2人を見ていた。
アイドル好きのネットワークはクモの巣のように張り巡らされており、
ありゆりがアイドルにはまっているという話は、あっという間に学年一アイドルに詳しいアイドルマスターの耳に入った。
アイドルマスターは私達のために、
すぐにそのアイドルが所属するグループのコンサート情報を提供してくれた。
そしてオタクになり数か月後には直接ご対面する機会を与えられたのだった。
初めてのコンサートは私達のオタク時代の歴史上最高の席で、
なななんとグループのメンバー中2人と握手することが出来た。
ありゆりの感想は、アイドルはいい匂いがするだった。
初のコンサートでそんなことが出来てしまったために、
ありゆりは急ピッチでオタク道を進んでいった。
それからというもの、
学校の始業式の日とかぶろうがコンサート、
胃腸風邪でぶっ倒れる寸前だろうがコンサート、
地元でのチケットがはずれても遠方でコンサート。
大学に入ってからも少しの間はそんな楽しい日々を送っていたが、
いつの間にか二人ともが同時に落ち着いていった。
コンサート前後にカラオケに出向き、彼らの曲で自分たちのコンサートを開いたり、
彼らのことであーでもないこーでもないと何時間も熱弁したり、
一緒にコンサート映像を見てワイワイしたり、
次第にそんなことをすることがなくなっていった。
今となってはなぜあんなに熱心になれたのか、もう思い出せないが、
二年に一度くらいの頻度で夢に出てきては、心をザワッとさせてくれる。
そして彼は、今でもドラマで主役を張るほどの売れっ子なのだ。
文章 あり
ゆり
既読 ちよ
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